ピルを飲んでがんを減らそう!
生理痛が辛くて低用量ピルで治療をすることになったA子さん。
2回目の診察では、憂うつな表情。
「ピルはがんになるから止めた方がいいって言われた」と・・・
誰に?(と聞くことはあまりないのですが)
「お母さんに言われた」
う~~ん。
年に数回、こんなことがあります。
何だか悲しくなりますね。
ピルは排卵を止める作用があるので、
卵巣がんを予防できます。
(排卵で卵巣が傷つくことが、卵巣がんのリスクになります。)
ピルを10年飲んだら、卵巣がんが8割減らせるってすごいことだと思いませんか。
私たち産婦人科医からすると、卵巣がんは早期発見が難しくて、サイレントキラー(沈黙の病気)と呼ばれてます。
症状がないまま進行して、腹部膨満感など症状が出たときには、かなり進行している状態で見つかることがほとんどです。
だからこそ、予防に意義があると思いませんか。
ピルは排卵を止めるので、卵巣を傷つけません。
特に、昔の人より約10倍も排卵が起こっている日本女性では、ピルで排卵を止めるメリットは大きいと思います。
排卵回数が10倍?ってわかりますか?
妊娠・出産を繰り返してた昔の女性では、排卵・月経の回数は50回くらい。
現代日本女性は妊娠・出産の回数が減りました。
したがって、一生の排卵・月経回数は450~500回くらになります。
こんなに卵巣を傷つけているなんて。
他にも、ピルで子宮体がんが予防できます。
それでは、乳がんはどうでしょうか?
乳がんは増えるという報告と、変わらないという報告があります。
死亡率は下がるようです。
それは、早期発見ができるからかもしれません。
ピル飲む飲まないにかかわらず、9人に1人が乳がんになる時代です。
日本人の乳がんは、40~50代がピークです。
・乳がんは早期発見が可能
・卵巣がんは早期発見が難しい
・ピルで子宮内膜症を予防できる
・子宮内膜症による不妊症も予防できる
これがピルの実際です。
お願いだから、ピルはがんになるからって言わないでください。