当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を一緒に飲む
産婦人科でよく使われる漢方といえば次の三つです。
・当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
・加味逍遙散(カミショウヨウサン)
・桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
いずれも月経痛や更年期症状に使います。
使い分けは簡単なようでいて、実は複雑です。
それぞれに含まれている薬草の特徴を考えながら処方します。
よく、当帰芍薬散は「虚証」華奢なタイプ、
桂枝茯苓丸は「実証」頑丈なタイプと言われることがありますが、
そう単純に分けられるものではありません。
当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を一緒に服用してもらうこともあります。
今日はこれについて解説します。
本来漢方は煎じて飲みます。
ブレンドした生薬を水に入れて、約30~60分煮出します。
私も煎じ用の電熱器を持っていて、煎じに凝ったことがありますが、大変な作業です。
そのため、漢方処方にはエキス剤を使うのが一般的です。
煎じ薬の水分を蒸発させて作った顆粒(または細粒)状のものです。
エキス剤は100種類以上ありますが、入っている生薬の種類や分量は決まっています。
月経痛の処方に「きゅう帰調血飲(キュウキチョウケツイン)第一加減」という処方があります。
エキス剤にはない処方ですが、当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を合わせると、似たような処方になります。
したがって、月経痛の治療に「きゅう帰調血飲第一加減」を使いたい時は、この2種類のエキス剤を一緒に飲んでもらいます。
※便秘がある場合は他の漢方、桃核承気湯や通導散などが処方されることがあります。