自己紹介<子宮内膜症と私>
診療では子宮内膜症の予防と治療に力を入れています。
それは、私自身が子宮内膜症で辛い思いをしたからです。
子宮内膜症は痛みや不妊の原因になるので予防が何よりも重要!
ありがたいことに、低用量ピルで子宮内膜症を予防することができます。
子宮内膜症で苦しむ女性を少しでも減らしたいという思いから、10代~20代女性に低用量ピルをお勧めしています。
子宮内膜症については産婦人科学会ホームページをご覧ください。こちらから>
☆生理痛のある女子は将来子宮内膜症になりやすい
☆子宮内膜症は不妊症の原因になる
☆子宮内膜症性卵巣チョコレート嚢胞はがん化のリスクがある
このことは今では産婦人科医の常識ですが、私の若い頃はそんな概念はありませんでした。
だから、私は生理痛を放置して子宮内膜症になりました。
幸い27歳で妊娠したので子どもは一人いますが、二人目ができませんでした。
卵巣チョコレート嚢胞は8㎝もの大きさまで育ててしまいました。
<生理痛を放置>
中・高校生のころから生理痛に悩まされていました。
妊娠・授乳中は生理が無くて楽でしたが、30歳で生理が再開すると痛みは再発、そのうちに生理でない時にも原因不明の腹痛や発熱に悩まされるようになりました。
<続発性不妊症で検査>
なかなか二人目ができなかったので、不妊症の検査は一通りしました。
後から考えると、不妊の原因の一つは子宮内膜症ですね。
でも、一人子どもがいたので、治療は何となく、積極的にはしませんでした。
それがよくなかったと思います。
妊娠できない→子宮内膜症が悪化という悪循環を繰り返していたことになります。
当時の私の反省から、子宮内膜症合併の不妊症患者さんには積極的に不妊治療をすることをお勧めしてます。
<チョコレート嚢胞が8㎝と増大>
チョコレート嚢胞4㎝が最初に見つかったのは34歳の時です。
その後は半年ごとに検査をしてましたが、大きさに変わりありませんでした。
ところが、36歳の1999年5月、半年ぶりに超音波検査をしたところ、卵巣チョコレート嚢胞が8cmにまで増大、さらにマーカーは3桁まで上昇していました。
「ヤバイ!卵巣がんになる」と恐怖を感じ、すぐに閉経療法を開始しました。
閉経療法中に更年期症状を体験したのはよい経験でした。
幸いチョコレート嚢胞は4cmに縮小しましたが、閉経療法は6か月までしかできません。
閉経療法をやめたら再発するのでどうしたものかと悩んでいた頃に、ラッキーなことに低用量ピルが日本でも認可されたのです。1999年9月のことです。
<閉経療法から低用量ピルへ>
低用量ピルは子宮内膜症治療や予防の効果があります。
とは言うものの、そもそも低用量ピルは避妊薬でもあるので、当時の私にとってピルを飲むということは、妊娠しないことを選択することになります。
夫婦で十分に話し合い、1999年9月から低用量ピルを飲み始めました。
低用量ピルで人生が変わりました。
痛みや卵巣がんの不安から解放されたのはもちろんですが、「妊娠しないという保証」がこんなにも女性を自由にさせるんだということを実感しました。
続発性不妊で検査・治療していた頃、とても気持ちが不安定でした。
妊娠するかもしれないから、新しいことにチャレンジもできません。
低用量ピルを飲み始めてから、つまり妊娠を望まないと決めてから、具体的な人生設計ができるようになりました。
これから将来のある若い女性には、私と同じ人生を歩んでほしくない。
生理痛は放置しない。
子宮内膜症は予防と早期治療がとても大事。
そんなメッセージを多くの方に届けたいと思っています。