動脈硬化とHRT(ホルモン補充療法)
HRT(ホルモン補充療法)は更年期障害の治療法で、骨粗鬆症の予防効果もあります。
さらに、上手く使えば動脈硬化も予防できます。
上手く使えばというのは、使い始めるタイミングのことです。
「タイミング仮説」というのがあります。
閉経前後に開始されたHRTは動脈硬化のリスクを低下させる。
閉経後長期間が経過してから開始されたHRTは、動脈硬化のリスクをむしろ上昇させる。
つまり、動脈硬化のないきれいな血管の状態でHRTをすれば動脈硬化は予防できるけど、
一旦、動脈硬化できてしまった状態でHRTをすると動脈硬化が進行する可能性があるということです。
これ、うそのようでホントの話。
それでは、閉経後10年後の女性とか、60歳の女性にHRTを開始すると危険なのでしょうか?
「タイミング仮説」からすれば慎重にということになるでしょう。
でも、そんなに単純ではありません。
つまり、一人一人違うからです。
高血圧や脂質異常症を放置して、50歳なのに既に動脈硬化が起こっている方がいます。
一方、60歳なのにきれいな血管の方もいます。
私も血圧の薬しっかり飲んでいるので、もうすぐ60歳ですが、血管きれいです。
だから、60歳以上、または閉経後10年以上の女性であっても、動脈硬化がなければ、
「明確な適応があり、そのベネフィット(利点)がリスクを上回る場合」にはHRTが可能です。
その逆に、閉経前後からのHRTは安全だといっても、すでに動脈硬化になっていたら注意が必要です。
あ~~、やっぱり年1回の健康診断、高血圧、脂質異常症、糖尿病の早期対応は重要ですね。